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ナイトトレインの平成・徒然草 ~心にうつるよしなしごとを書き連ねて~

《鉄道》《車》《音楽》《文学》等にまつわるよしなしごとを、つれづれなるままに書き連ねてまいります。 このBLOGに掲載された写真などを他のMediaなどに掲載される際の問い合わせ先はn.sugii@nifty.comです。 

無名の画家・宮芳平

新潟県魚沼市に生まれた宮芳平(1893~1971)は、18歳で上京。森鷗外の短編小説『天寵』で主人のモデルに描かれたことで知られている無名の画家。 生誕120年を記念し、生涯にわたる油彩作品、素描、銅版画、ペン画などにより、市井に生きた画家の回顧展が巡回で各地の美術館で開催されて評判となっている。
東京の美術学校(芸大)に入学して作品を主要な展覧会に応募して落選しているが、一度も入選することなく無名の画家として貧困の中生涯を閉じている。生活のために紹介された長野の学校で美術の先生として非常勤講師の任に就くが画材で使うお金にも不自由を強いられ、奥さんの結核の治療や療養費にも事欠くになり、妻を40代で失う悲劇にも見舞われている。
そんな彼を認めて、絵を購入している人がいる。なんとそれは明治の文豪「森鴎外」、森鴎外は彼の絵を気に入り購入してずっと家の居間にかけていたとのこと。しかし宮芳平の生涯で絵を購入したのは森鴎外だけで他の人は誰も彼の絵に見向くことがなかった。

茅野市美術館 2013年8月2日(金)~9月1日(日)
練馬区立美術館 2013年9月15日(日)~11月24日(日)
島根県立石見美術館 2013年12月21日(土)~2014年2月24日(月)
新潟県立近代美術館 2014年4月26日(土)~6月1日(日)
安曇野市豊科近代美術館 2014年7月19日(土)~9月7日(日)

生活のために教師の職に就いた宮は悩んでいた。芸術家が職に就くことは堕落である信じていたのだ。

創作することと教えることとは違うような気がする。これはどうしても二つの仕事だ。
創作は創作で全力のしごとだし、教えることは教えることで全力のいる「仕事だ。
それではこの二つをどう調和したらよいだろうか。

しかし、宮は教師生活を続けるうちに変わってきた。

生徒の存在が宮を変えた。
疑うことを知らない素直な子供たち、宮にとって共に過ごす時間が何よりも大切なものになった。

一枚の絵がうまくいくことと、一つの授業がうまくいくこととどっちが楽しいだろうか?
とにかく一つの絵がうまくいくと、一つの授業がうまくいく。
一つの授業がうまくいくと、一つの絵がうまくいく。
この二つはどうも二つでないようだ。
一つのようだ。

宮は拙いことを積極的にとらえ始めた。
拙いことは決して消極的ではなく、積極的なことである。
むしろ童心に帰る。
子供の頃の生まれたままの資質というものを、そのままうまく大人になっても持ち続ける
ことが人間にとって最も大切なことと思い始める。
養拙が大人になると必要、大人になると拙さがすり減らされる。
芸術的なたくらみがなく、巧まずして描いた絵が宮の絵となっていく。

しんとした部屋の中に黙って置かれてある子供たちの道具すらが眼に触れて、私のためにあんなにも
良い生徒がここに座しておとなしく勉強していってくれた、これがその部屋であると思うと何とも言えない
嬉しい気持ちがこみ上げてきて体中いっぱいになる。

教え子の中沢さん(画家)は、次のように先生に教わったと言う。

形などいくらくずれていたっていい。絵の生命はそんなところにない。
むしろくずれているところに本当の正しさがあると言いたいくらいだ。
だからあなた方は、絵のケイコなど必要じゃあないんだ。
ただあらゆる情熱とこん限りの誠実と力いっぱい投げ出して書いて行けばいいんです。
それだけで、どんな素人でも完全な芸術を生み得る。いや芸術とはその他にないんだ。

そして宮の画風もそのように結実していっている。


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  1. 2014/08/09(土) 10:43:50|
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Author:nighttrain999
目黒区の都立大学で産湯を使い、長じて多摩ニュータウンに移り住んでン十年の”おじさん”です。サラリーマン渡世を無事に勤め上げて第二の人生を謳歌しております。
多彩な趣味のお陰で時間が足りなくて、とても仕事をしている暇がないという次第。
興味のあるものは: 鉄道・車・オーディオ・カメラ・地図・文学・歴史・音楽(特にJAZZ)・英国

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